EATLAB1周年記念展示『はじめての金継ぎ展〜本当に継ぎたいもの〜』を開催します。

昨年の3月2日、EATLABはクラウドファンディングでのご支援者はじめたくさんの方のご協力をいただいて石川県小松市に誕生しました。

 

もうすぐあれから一年。

順調に軌道に乗ったというにはまだまだ道半ばではありますが、一歩、また一歩と歩みを進めています。

今回、そんな我武者羅なこの1年のEATLABを応援してくださった全ての方への感謝の気持ちを胸に、1周年企画展示『はじめての金継ぎ展』を開催します。

 

1年のあゆみを振り返る

3月にスタートした食文化とITのオープンスペース EATLAB は、「日本の食文化を持続的に未来に繋ぐ」ことをコンセプトに、まずは地元石川県小松市をはじめとする地域の食文化を学ぶ場づくりとしてのイベント「CRAFT FOOD MARKET」やワークショップレーベル「おいしい学校」を立ち上げました。

CRAFT FOOD MARKET は、オリジナルの什器を使ったマーケットで、EATLABのコンセプトにも通じる「持続可能な食文化を未来に繋ぐ」ことを目的として毎回テーマを変えながら続けています。

ワークショップレーベル おいしい学校 は「地域の食文化の実践の場」として、食卓周りのこの地域の文化を紐解き、地域の先生に学び、実践するワークショップを数は少ないながらも少しずつ実践してきました。

そんな風にこの地域の食文化について少しずつ学びを深めた1年目。2年目はそこをさらに広げたり深めたりしながら、持続的に未来に繋いでいくための課題をあぶり出し、そこに役に立つサービスづくりにつなげていきたいと思っています。

 

この1年で生まれた作品を展示する5日間

そんな風に過ごしてきたこの1年でしたが、実はそこで生まれた作品がありました。

おいしい学校の一環で行った「金継ぎ学」を通して生まれた金継ぎ作品たちです。

この地域の伝統工芸の技法を使ってできる食卓の繕いを、昨年の7月に開講してから8ヶ月にわたり少しずつやってきました。

EATLABのコンセプトにもある大事な考え方として「持続可能」という言葉がひとつのキーワードにもなっています。昨今の気候変動などの流れから、環境や経済などと結びつけて考えがちなこの言葉。でも、もっともっと身近なところで無理のない範囲内で身の丈にあったことをコツコツと続けていく、という考え方もあると思います。

石川を代表する工芸素材である漆は、小麦粉や珪藻土、木粉などの様々な異なる素材と混ぜ合わせることで能力を発揮します。金継ぎもまさにこの漆を使って壊れた器を直す技法。わたしたちはこの金継ぎ学を通して、一度壊れたものが元以上に素敵に復元されることを知りました。

ひとつとして同じように壊れないように、直し方もそれぞれ。

その方法は多岐に渡り、その都度その都度、わたしたちは直らないものなどないのかもしれない…!という気持ちを強くしながら繕ってきました。

 

壊れても、直すことができる。

 

このことは、「持続可能」をひとつのキーワードに様々な取り組みを行うわたしたちにとって、「何を持続させることが大事なのか?」を問いかけてくれたようにも思います。

 

中には、お子さんが作ってくれた割れてしまった九谷焼を直された方もいらっしゃいました。

お母様との大事な思い出の作品を直された方もいらっしゃいました。

 

壊れてしまっても、大事に大事に持ってきて、時間をかけて直していく間に、わたしたちはそこにある失いたくない思い出や家族の食卓、この地域の食文化を共有しあってきたように思います。

こうやって、様々なことを考えながらこの8ヶ月通して直してきた作品たちを、今回、EATLABの1周年に合わせその物語とともに展示することになりました。

 

ひとつひとつは、今回、はじめて金継ぎを習った素人だった生徒さんたちの作品です。ですが、そこに宿った“本当に継ぎたいもの”から、見に来ていただいた方々に伝わるものがあれば幸いです。

 

<概要>

企画展:EATLAB 1 周年記念展示『はじめての金継ぎ展〜本当に継ぎたいもの〜』

日程:2020年3月21日(土)〜 2020年3月25日(水)

時間:9:00〜18:00

出展者:菊川小百合、久保田直美、小西忠司、新道千津子、中谷千賀、宮永京子、吉田洋子、EATLAB 瀬尾裕樹子、漆芸家 なかおかようこ